CASE 5
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
東京都港区芝5-37-8 バンダイナムコ未来研究所 /
https://www.bandainamcoent.co.jp/
経営推進室 総務部 マネージャー 熊田直樹 様(右)
経営推進室 総務部 アシスタントマネージャー 相澤文和 様(左)
スマートフォンさえあれば、通勤中でも手軽にアプリで遊べる時代。選択肢が増えた今、これまで以上に斬新な商品やサービスが求められるのかもしれません。株式会社バンダイナムコエンターテインメント(以下、BNE)は、ネットワークコンテンツ、家庭用ゲーム、ライフエンターテインメントなどの分野において、幅広いターゲットに向けて、さまざまな「アソビ」を提供するグローバル企業です。世界を虜にするようなオモシロイ着想を重視しているからこそ、今後の成長に向けたオフィス環境が必要でした。リニューアルにあたって当初から挙がっていたキーワードは「共創」。どんな空間が出来上がったのでしょうか? プロジェクトを担当した総務メンバーにお話を聞いてきました。
JR田町駅からほど近く13階建ての未来研究所は、1棟まるごとBNEとバンダイナムコグループの会社が入居しています。“エンタメ企業”というと自由闊達な職場をイメージしますが、情報セキュリティなどの都合上、他部門の社員と顔を合わせるのは一部のフロアか社員食堂のみ。「業務中に他チームの社員と会話する機会が少ないため、他部門が何をしているかよくわからないという弊害もありました」(相澤さん)。
パックマンなど代表的なIP(知的財産権)をはじめ、人気IPの「機動戦士ガンダム」「ドラゴンボール」「ソードアート・オンライン」などの世界観を活かしたゲームシリーズを世界中のお客様にお届けしています。これら多くのIPを活かした商品やサービスに関する情報は、厳重に管理される一方で、社員はそれらを存分に活用して新たな“エンタメ“を作り出し、世界中のファンへ届ける必要があります。
以前から役員が、「社員がウロウロできるオフィスにしたい」と話していたそうです。自席にこもっているだけでは斬新なアイデアは出ない、ということなのでしょう。このような背景から、12階の広いスペースを活かして社員の行動変革を起こす準備が進んでいました。
どうしたら理想的な環境がつくれるのか? 経営層だけでなく各部門からも意見を集めたところ、いくつかポイントが見えてきました。
「ゲームソフトやコミックを一ヶ所で保管・閲覧できると良い」「さくっと打ち合わせができる場所がほしい」
最上階にはうらやましいくらいの社員食堂があるのですが、オープンすぎるため秘匿性の高い情報を扱う打ち合わせには向いていないとのこと。たしかに外部の顧客などが入れる場所では、未発表の商品など投影することはできません。会議室は予約が埋まりやすく、場所の確保にも困っていました。
「DAYS OFFICE」が盛り込まれたコクヨの提案によって、イメージは一気に具体化しました。空間の上品さとアソビ心のバランスも絶妙で、エンタメ企業としてのデザイン性・面白さが両立できたそうです。エントランスでパックマンやゴーストがお出迎えしてくれるアイデアも、訪問者の好奇心を盛り上げるための演出でした。
“さくっと気軽に” “仕切りのある空間でじっくりと”など、状況に合わせたミーティングエリアを用意。落ち着いた雰囲気でゲームができるコーナーや、コーヒー片手に自然と人が集まるオープンな場所など、目的に応じたエリア分けが特徴です。
人々の活きたつながり“LIVE”と、知恵や情報が集まる “RALLY”を合わせて、「LIVE-RALLY」と名付けられたこの共創スペースは、のちに他のグループ会社でもちょっとした話題になっているほどでした。
人気があるドリンクカウンターは「あえて部屋の奥に配置」。色々なエリアを通ることで誰かと立ち話が始まったり、新しい本やゲームを見つけたりと、偶発的な出会いが生まれるように工夫しました。「目的別のスペースを用意することで、押しつけがましくならずにコミュニケーションを促す場を提供できました」(相澤さん)。
ドリンクは無料で提供。コーヒー類のほか、月2回程度入れ替わる総務セレクトの気まぐれメニューは青汁や黒ごま豆乳など、ちょっと変わったものも。「同僚やお客様とのちょっとした会話のきっかけになればいいと思います。」(熊田さん)。さりげない配慮が感じられます。
ドリンクカウンターから近いスクリーンや音響設備のあるエリアは、イベント利用も想定。セミナーのように一方的に聞くだけでなく、対話がしやすいように取り入れられたのがバンクソファーです。
階段状のソファーは、トーク番組のひな壇を思わせます。後部席でも目線が合うので、表情・発言がわかりやすくなります。「登壇者と社員が向き合えるので、ディスカッションもしやすくなりました。音響設備も当初より良いものに変更しておいてよかったです。」(熊田さん)。
「LIVE-RALLY」の中央には、自社ゲームソフトや原作コミックを並べるためのウォールシェルフを設置。ゆるやかに空間を仕切っています。書籍・小物のセレクトは、オフィスの納入実績も多い青山ブックセンターに依頼しました。
意外性や気づきを生むために、業務には直接関係のない本や玩具も置いています。ルービックキューブやけん玉など、手先や身体的運動によって発想につながるかもしれません。
「LIVE-RALLY」ができて大きく変わったのは、他部門と交流する機会が増えたこと。以前は自分のフロアでしか休憩しなかった社員が、ここで顔を合わせて話す機会が増えました。昼休みや就業時間後に集まり、ゲームしながらコミュニケーションをとることが刺激にもなるようです。
立ち話の雑談から始まったアプリのコラボ企画など、執務エリアにいるだけでは生まれなかった行動につながっています。「形式ばった会議よりも、気軽な雑談からのほうがオモシロイものが生まれると思うんです」(熊田さん)。
12Fにライブラリーができたことで、ゲームソフトや原作コミックが一ヶ所に集約。担当になったキャラクターについて「原本確認」したいときは、ここにくればさっと手に取れます。全巻読破した役員もいるほどとか。
外出がほとんどない部門の社員でも、自席以外のカウンターや集中ブースで働けるようになったのも大きなメリット。一息つきながら、スツールに腰かけてノートPC作業する社員も増えたそうです。
在宅勤務など多様な働き方が増えるなか固定席以外でも仕事ができるエリアができ、固定席しか選択肢がなかった社員にも、小さなところから働き方改革が進んでいるのが目に見えてきました。創造や発想、オリジナリティーが問われる企業において、社内にモードチェンジしやすい環境があることは重要です。成長をサポートする環境が整ってきました。
ひな壇状のバンクソファーも使って、リニューアル後のオープニングイベントを開催。社長と交流を深めるよい機会になりました。
別フロアでイベントしていた時よりも雰囲気はかなりオープンに。社長が携わった作品のパネルを並べて、ご自身によるぶっちゃけトークも! 社員との距離も縮まりました。
フラワーレッスンやメイク講座など、趣向を変えたイベントも開催。「LIVE-RALLY」を訪れたことがない人にも、足を運んでもうための工夫です。以前からの人気イベント「アソビモットデー」も実施。総務によるオリジナル企画も準備しており、利用頻度はますます上がっていくはずです。
利用者の意見はQRコードからの投稿で会社として吸い上げていますが、それだけでなく日頃から社員の行動を観察するなかで、改良されていました。
例えば人通りが多く集中しづらそうなミーティングテーブル横には、パーティションを追加。モニター設置されているテーブルのほうが利用率が高いこともわかり、増設しました。新しく入荷した本・ゲームの告知も行なって利用促進しています。「今後も評価指標を決めて利用状況をウォッチしながら、言われる前に改善を心がけたいです」(相澤さん)。
こうした好循環によって、今では偏りなく全フロアの社員から利用されています。別拠点の女性社員からは「外出・打ち合わせ時にぜひ活用したい!」とのうれしい声も。好意的な意見と要望が押し寄せて多忙の総務メンバーですが、今後は運用方法もアップデートしていきたいと楽しそうに語っていました。
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
https://www.bandainamcoent.co.jp/
「アソビきれない毎日を。」を企業理念として、数多くのエンターテインメントを展開。ネットワークコンテンツ、家庭用ゲーム、ライフエンターテインメントなどのゲームを中心に、世界中にさまざまな「アソビ」を仕掛けている。